空飛ぶ絵師をご存知ですか?
皆さまは、歌川貞秀という絵師をご存じでしょうか。
歌川国芳の兄弟子、初代歌川国貞(三代豊国)の弟子で、幕末、最も人気があった浮世絵師のひとりでした。
慶応3年に開催されたパリ万博出品の際には、浮世絵師の総代となり、明治元年の人気番付では第一位でした。
貞秀は何と言っても壮大な構図の鳥瞰図が特徴です。
ドローンなどまだ無かった時代に、空から見たとしか思えない、ほぼ正確な構図の鳥瞰図を多数残しています。
浮世絵は3枚揃いのものが一般的ですが、貞秀は、豪快にして正確な、9枚続きの大阪全図や、6枚続きの横浜、大阪、鹿島灘、山口の絵などを描いています。
非常に素晴らしいものなので、皆さまも機会があったら是非貞秀の作品をご覧いただきたいと思います。
また貞秀の当時の人気は、決して鳥瞰図からだけではありません。
色彩使いも非常にうまく、美しい浮世絵も数多く残しています。
現代、現時点では、葛飾北斎や歌川国芳、歌川広重ほどの人気には至っていませんが、江戸末期の人気がダテではなかった貞秀のブレークは、その作品を見れば、もう近いのではないかと感じます。
次に来るかもしれない「空飛ぶ絵師、歌川貞秀」を皆さんも是非覚えておいてください。